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どこにでもあり(a)
ビューティフルピープルにしかない(THE)
「大人のための子供服」
ビューティフルピープルの象徴的なアイテムである定番ダッフルコート。ベルギー北部に位置する小さな街の名が由来のダッフルコートは、その地方の漁師が着用していた重厚感のある防寒着をルーツにもちます。その後、第二次世界大戦中にイギリス海軍によって正式採用されたことでその名が世界的に広く知られました。
ビューティフルピープルでは、古くからの歴史をもつダッフルコートの伝統的なものづくりを大切にしつつ、「大人のための子供服」をコンセプトに年齢と性別を問わないオールジェンダーなコートに仕上げています。
その優れた防寒性と着心地から、わたしたちはまるで『毛布のようなコート』と呼んでいます。
希少性と機能性をあわせもつ生地、ギミックや遊び心が隠されたパーツなど、ビューティフルピープルが提案する新しいダッフルコートをご紹介します。
暖かさにつつみこむ本パイルメルトン
ビューティフルピープルがダッフルコートに使用する本パイルメルトンを、わたしたちは『毛布』のような素材と表現しています。その表現は大袈裟なものではありません。熟練の職人の手によって、起毛とせん毛と呼ばれる工程を何十回とくり返すことで、ウールの三重織組織は毛布へと生まれ変わります。
ヘリンボーンに織り上げた生地は、風合いを出すために一度縮絨機にかけて少し縮ませます。それを乾燥させたのち、「立ち毛=パイル」を作るために緯糸(ヨコ)を引っ掻いて毛羽を立たせる起毛を行います。やさしく起こされた毛羽をカット(せん毛)することで、少しづつ生地の目が詰まっていきます。起毛とせん毛を行うには1日以上かかり、とても根気のいる作業なのですが、生地の状態や環境によって仕上がりが変わるため、その都度様子を見ながらこの作業をくり返し行います。
その後、特殊な機械をもちいて寝ている毛羽を起こし、カット部分を鮮明にさせる工程を施して、長さを揃えるために更に仕上げのせん毛を行います。これらの工程はすくなくとも1.5~2ヶ月程かかり、熟練の技術を必要とします。
手間と時間をかけて作成された生地は、しっかりと目が詰まっているが柔らかく、その肌あたりと暖かさから、また、毛布を生産する工場で仕上げをしていることから私たちは毛布のようなコートと呼んでいます。
伝統的な三重織組織
ルーツとなる漁師が着用したコートと同じ三重織組織でつくられた本パイルメルトン。当時は英国ウールを原料とした生地のため、ずっしりとした重みと裏地のないコートでしたが、ビューティフルピープルではラムウールを使用することで軽さを実現しています。
効率性を求める現代では、手間と時間を必要とする三重織組織はある意味の絶滅危惧種ともいえます。接結糸ともなる経糸(タテ)を通す工程は、職人の手を必要とします。三重織組織ではその工程を三度も行う必要があるため、限られた生産工場でしか生産することができず、現在ではその生産背景はとても貴重な存在となっています。
生地は、表、中、裏の三層で構成されていますが、表と中は魚の骨の形状に似ていることからヘリンボーンと呼ばれる適度な厚みがでる綾織、裏は平織りで構成されています。三層構成であることを活かし、多様な色糸を調合することで奥深さのある色表現と陰影のある柄表現を実現しています。
水牛の角から作られる天然の色合いが特徴の水牛ボタン。側面にはブランドロゴ入りです。シーズンテーマであるOMAMAGOTOから、おもちゃのような質感の塗装を施しています。自然の水牛ボタンに人工的な塗装でその普遍的な二項の対比も暗喩しています。
元々は寒い地域で着用される仕事着であったため、手袋をしたまま着脱できるようにトグルという浮型の留め具と対になるループ数組によって留めることができるように作られています。本水牛のトグルと本革の革紐を使用しており、こちらにもあえて人工的な塗装を施しています。実はこのトグルには、芋版にヒントを得たユニークなギミックが隠されています。丸の面に「bp」のロゴが彫られており、朱肉をつけるとハンコになるという遊び心にあふれたトグルなのです。
防寒性を保つディテールの1つがチンストラップです。ストラップを閉じることで首元に吹き込む冷たい風を防ぎ、マフラーを着用せずとも十分に防寒することができます。極寒とも呼べる北海の漁師に愛用されていた所以でもあります。
通常のコートよりも大きな開き口のポケットにもその由来があります。トグルと同様に、手袋をして作業をする漁師が手袋外さずに出し入れがしやすいように大きく作られています。ビューティフルピープルでは、その利便性と現代的な収納性を活かしたディテールとして、変わらず大きなポケットを採用しています。
サイズ&シルエット
ダッフルコートの由来は男性用に作られたウェアのため、ゆとりがあり、すこし無骨なシルエットのものが多くみられます。これまでのビューティフルピープルのダッフルコートもメンズライクなストレートシルエットでしたが、ややウエストを絞りつつ裾まわりを広げたことによって、従来よりもオールジェンダーなシルエットにブラッシュアップしました。また、肩が華奢に見えるように肩まわりを少し小さくし、その代わりに袖まわりに運動量を出すことで腕が動きやすいように設計しています。一見すると違いがわからない微調整によって、着用時の現代的なシルエットを実現しました。豊富な6サイズ展開で、ビューティフルピープルらしいコンパクトなサイジングから本来のゆとりを活かしたオーバーサイズまで、着る人のスタイルに合わせたシルエットを叶えます。
定番のダッフルコートと同じ本パイルメルトン生地をつかったショート丈Pコートが、今シーズンは登場します。ヒップ丈のゆとりあるオーバーサイズシルエットで、袖下から身頃に続く立体的なマチによる優しいフォルムが特徴です。子供服のディテールバランスを採用することで、着丈や身幅に対して大きな襟元は、ありそうでなかったビューティフルピープルらしいデザインです。